絶対速度と相対速度
市内の道路の主な場所は大抵50km/hの速度規制がされている。
したがって善良なる運転者諸君はスピードメーターが50km/h近辺になるように
アクセルをコントロールすることになる。
この場合の50km/hというのは自動車の共通基盤である道路を基準にしている。
道路は地球と一緒に動いてはいるが、天動説の名残の感覚で行くと
それは不動のものとみなされる。
そして絶対君主のようにどっかと居座って動かないとみなされる地面を車社会における
絶対速度の基準と考えても差し支えないだろう
だから道路標識に書かれた50km/hというものは絶対速度とも言いえる
それは田村氏のaudi550にとっても中田氏のfuga370GTにとっても
50km/hは同じ速度である。
田村氏は時々新幹線と競争することがある。
彼のお気に入りのコースは新幹線と平行に走る海岸の高速道路だ。
高速道路は100km/hの速度制限がされているが、新幹線にとってはそれは
徐行運転のようなものである。
またaudi550のようなドイツ車は速度無制限のアウトバーン仕様となっているので
最高速度250km/h、0-100km/h加速は5.8秒ということもあって
最高速度300km/hの新幹線には下回るものの追従することができる。
駅の前後では並んで走ったり追い越したり、追い越されたりする。
田村氏は何度か違反切符を切られたが
その快感が忘れられず、時々スピードを出しすぎてしまう。
新幹線とaudi550が並んで走っているとき、それらの相対速度は絶対速度の差となる。
つまり新幹線が250km/h,
Audi550が250km/hだと
相対速度=250-250=0
この場合新幹線から見ても、audi550から見ても相手が同じ位置にいて静止しているように見える。
新幹線が加速して300kmになると
Audi550から見ると新幹線が相対速度50km/hで前方に遠ざかっていくように見える。
新幹線からはaudi550が50km/hで後方に離れていくように見える
相対速度はそのように速度差であるから
宇宙船や宇宙ステーションのように
仮に相対速度が0であっても
地球基準の絶対速度は250000km/hということもありうる。